無職の絵日記

ただ何もしていないだけです。

狩猟・採集生活に戻った人たち

人間はものを食べないと生きていけません。ですから、食糧生産というのは人間にとって最も重要な活動といって差し支えないでしょう。ですが、現代において食糧生産に直接的に関わっている人はどれくらいいるでしょうか。都市部に住んでいると、農家や酪農家など食糧生産を行っている人が周りにいることもありませんし、知り合いになることもありません。スーパーで売っている野菜の袋に農家の方の写真が載っていることがありますが、これは食糧生産者の存在を意識する数少ない機会です。これだけ食糧生産から遠ざかっても生きていけるということは、それだけ文明が発達しているということでしょう。

文明の条件として、書き言葉の使用とともに余剰食糧の生産があげられるそうです。確かに、全員が食糧生産に従事している社会では、それ以外の分野における科学的・文化的な発展がなされることは難しいでしょう。実際、人間というものが誕生してから20万年くらいは狩猟・採集生活を送っていて、この間は全員が食糧の確保に従事するだけで他のことはほとんど何もしなかったようです(動物は普通そうですね)。その後、どういうきっかけか分かりませんが、食べるのに適した植物の栽培や動物を家畜化することに目覚めたことで余剰食糧の生産が可能になり、文明が生まれたということです。

ただ、農耕を始めると単純なカロリー摂取という面では有利になりますが、食べ物が画一化しますので、栄養面などでは偏りが出てしまったようです。狩猟・採集を行っている人たちの方が、動物に襲われるなどの危険はあったと思いますが、いろいろな食べ物を食べることができましたし労働時間も短かったようです。遺跡を調べると、一度は農耕を始めたものの、しばらくしてからまた狩猟・採集に戻ってしまった人たちもいたようです。この人たちの気持ちは非常によく分かります。農耕には安定した食糧供給というメリットがありますが、食糧の保存が可能になったり仕事が専門化したことに伴い、貧富の差が生まれたりもします。

人類という種全体の繁栄を考えた場合には、農耕を行って余剰食糧を生産することが最適解だったのかもしれませんが、個々の人間の幸せを重視した場合にどちらがよかったのかは、かなり意見が分かれるところだと思います。