無職の絵日記

ただ何もしていないだけです。

寿司職人は寿司を数え間違えない

今になって振り返ると、自分のことであるにも関わらず、なんであんなことをしたのかと不思議になることが多々あります。もう10年以上前にはなりますが、たまに昼を食べに行く寿司屋がありました。回転寿司ではありませんでしたが、リーズナブルなお店で当時ランチを千円ほどで食べることができました。チェーン店というほどではありませんが、その街にいくつか店舗がありました。私が通っていたのは、その中で一番大きいお店でカウンターの中に板前が3人いて寿司を握っていました。

ランチセットは、握りが10貫で当時、千円ちょっとだったと思います。回転寿司に行くより安く済みましたし何よりおいしかったので、昼時にその街に立ち寄る際の楽しみになっていました。ある日、いつものようにランチセットを頼んで少し食べ進めてから、セットの寿司が10貫に足りていなかったことに気がつきました。それで板前にそのことを告げると、板前は変な顔をしながらも無言で私の寿司下駄に寿司を追加してくれました。私は正当な権利を行使したことに満足し、おいしく寿司を味わいました。

この時は本気で寿司が足りていないと思い込んでいたのですが、しばらくして、あれは自分の勘違いだったのではないかと思うようになりました。それから何度かその時のことを考えることがありましたが、今では寿司が最初から10貫あったのだということを確信しています。当時の私の思考回路は被害妄想に侵されており、常に他人が自分の権利を侵害しようとしているのだと考える傾向がありました。冷静に考えれば寿司職人がセットの寿司を1貫足りなく作るわけがないのですが。

後になって冷静に考えると、当時どうしてそんなふうに考えたのか、またそんなことをしてしまったのか、ということが多々あります。そんなとき、その時の自分が今の自分と同じ人間であるということを受け入れがたく思ったりもします。